シチズンの、創立80周年記念を記念して、限定モデルが発売されました。
そこで、今回、それらを生み出した4人のデザイナーたちに、デザインにまつわるあれこれを伺いました。
全3回に渡り、それぞれの時計が生まれたきっかけ、デザインコンセプト、デザイナーとしての心得など、“ニッポンの時計を、おもしろくしている”タネを探ります。
シチズンには、“何でもやっちゃえ”という社風があると聞きましたが、体感したことはありますか?
- 宮川
- ありますね~。結構フランクです。
インディペンデントを手がけていたときは、工場の人が"しょうがねえな~。どうやって作るんだよ!"というような大胆なデザインもしていましたね(笑)。
- 小山
- 自分が思い描いたものを、最後まで、いかに相手にきちんと説明できるか。
それができたデザインは、商品化されているんじゃないですか?
- 御園
- 基本的にはオープンなシステムなので、自分で自由に絵を描いて、“これをやりたい”といえば、頭ごなしに否定する人はいないんです。自主提案はいつでもOK。
しかし、当然、社内にはハードルや制約もあるんですよね?
- 御園
- もちろんあります。
特に今は、お客さんにどう伝わるかというところまで、デザイナーが組み立てられないと、商品化までの道は遠いですね。でもそれは一貫したコンセプトを保てることなので、良いことだと思っています。
バーゼルワールド(世界最大の時計の見本市)用のデザインなど、
まったくフリーでデザインを起こすこともあるんですか?
- 榎本
- コンセプトモデルのときは、何の制約もないので、各自バラバラです。商品化以前に、新しいものを生み出そうという発想で取り組んでいるので、面白いアイデアがたくさん生まれますね。
- 御園
- 私は、「エコ・ドライブ ドーム」を描いたときは、10作品くらい描きました。他の人も、自由な発想で、色々なアプローチをした人がいました。
未来的なデザインの人もたくさんいたし、そうじゃなくても、見たことの無いデザインが多く提案されましたね。
ところで、プロダクトデザイナーとして、物へのこだわりは強いですか?
- 小山
- そうですね。しいて言えば、既製品じゃ物足りないところかな。
色とか、パーツとか、どこかに普通じゃないスパイスを入れて自分のオリジナルを楽しんじゃう。
自分イズムを入れないと気が済まないみたいです。昔、WRC(世界ラリー選手権)が好きで、クルマをいじってWRC仕様にしちゃっていたんですよ。それで雑誌に出たこともありました。
今は、クルマは売ってしまったけど、そのスピリットは残っていて、自転車に興味が移っています。
やはり機械をいじることに興味があるのでしょうか(笑)。宮川さんは何かありますか?
- 宮川
- 物ではないですけど、デザインとしては、ペットのモナカ(トイプードル)のカットには
こだわっています(笑)。“耳の周りは短くして、足に丸いポンポンつけて”って、嫌な客だと思いますよ。
ミクロン単位を扱っているデザイナーにとって、ちょっとした丸みの違いや長さが
揃っていないことが気になりそうですね。
では最後に、デザイナーとして、これだけは大切にしているという信念を教えてください。
- 小山
- デザイナーってバランスをとることが大事な職業だと思います。
設計だったら設計士になればいいし、絵を描きたいならアーティストになればいい。
デザイナーのやることは、
自分の思い描くバランスを保つことだと思っています。
- 宮川
- 自分が欲しいと思えるものを描く、ってことですね。
- 榎本
- 僕もそうかな。自分でかっこいいと思えるか、きれいと思えるか。まずは自分の審美眼を信じます。
あとは子供に“お父さんがコレ作った”といえる仕事かどうかということ。
- 御園
- 私は統括する立場として、みんなに、自分が欲しいと思えるものを作ってもらいたい。
そのほうがデザイナーとしての個性が伸びると思うんです。
あと、自分はデザイナーを一度離れているので感じるのですが、いつが最後のデザインになるかわからない。
常に“これが最後のデザインかもしれない”と思って、取り組むようにしています。
シチズンには、デザイナーが両腕を思い切って伸ばせる環境が整っているようだ。
そんな社風によって、これからも、より良いデザインの時計が生まれてくることだろう。

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