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CAMPANOLA(カンパノラ)書道家“武田双雲”コラボレーションモデル - 武田双雲氏インタビュー

和のわびさびを感じさせる、ニッポンの時計のこまやかさ

武田 双雲氏 Souun Takeda

●1975年 熊本生まれ ●3歳から母である書家・武田双葉に師事 ●2001年 書道家として独立
・上海美術館より「龍華翠褒章」受賞 ・伊勢神宮にて献書 ・NHK大河ドラマ「天地人」題字など作歴多数
・「世界で一番受けたい授業」「徹子の部屋」などTV出演も多数

「ニッポンの時計が、おもしろくなる」をコンセプトに展開する シチズン「REAL SCALE」。
この“REAL SCALE”の題字を書いていただいているのが、書道家・武田双雲氏。
そして今回、『カンパノラ』をベースに双雲氏の書とのコラボレーションモデルを実現させ、限定100本を発売。
そこで、「カンパノラ」のデザイン担当であり、且つ今回のコラボモデルのデザイナーである井上英樹氏との座談会を設け、このモデルを作り上げるまでのこだわりや商品に対する思い、デザイナーとして又アーテイストとして双方が考える「ものづくり」などについて語ってもらった。

今回のモデルをデザインするにあたってのコンセプトは何ですか?


CAMPANOLA(カンパノラ)
書道家“武田双雲”コラボレーションモデル

数量限定100個 ※シリアルナンバー入り
武田双雲氏直筆サインカード付き

CTU57-1261 ¥630,000 (本体¥600,000)

井上
カンパノラのデザインコンセプトは、"中空の美"です。ここに一番こだわっています。何層にも階層をつくることで、立体感や奥行きを出しているんです。今回は特に、陰影をつけることで立体感を強く表現しようと思いました。これまでのモデルより幅の広い五徳リング(ローマ数字の部分)を採用して、影を文字板に落とすことにより、低いところはより暗くなるようにデザインしています。これは、日本家屋の軒をイメージしているんです。また、カンパノラには、"日本の時計"というコンセプトもあります。今回のモデルは会津塗りの職人儀同さんが、国産漆を使って文字板と五徳リングを塗っています。和のイメージが感じられるモデルだと思います。
双雲
今の言葉を聞く限りは、和のDNAを継承していますね。
井上
はい。それから、7時の方向から覗いてもらえるとわかるんですが、文字板の小レジ美部分に立ち上がりの斜面があります。文字板の中央が丘の様に高く盛り上がっているので、その斜面の幅が変化しているんです。斜面の変化をみせることで、文字板の立体感を感じてもらうことが出来ると思います。
双雲
うわー、ホントだ。何回もはめているのに、全然気がつかなかった! この小さい世界に丘とか盆地とか、複雑な自然が存在しているんですね。
井上
そうですね。時計というのは、どうしても限られた空間なので、立体感を出すのがなかなか難しいですね。
双雲
とはいえ、色、素材、形と、デザインの幅は無限じゃないですか。
そのなかから、よくここに落とし込んでいますよね。
井上
そう考えるとデザインは、無限に広がりますね。形になるまでの生みの苦しみはありますが、何かひらめいたときは「これだ!」って思いますよ。

双雲さんは、「感」と時計がどのように一つになっていくのか、デザインについての意見などはありましたか?

双雲
お任せです。カンパノラ自体に惚れているので、カンパノラの世界観で僕の書がどう料理されるか?“僕が育てたナスをなんとか最高の料理に”って、素材を渡した感じですね(笑)。でも、まさか文字板から外まではみ出すとは思っていなかったですよ。
井上
何回か双雲さんと話をさせていただいて、「感」への想いはわかっているつもりだったので、文字自体の扱いは、すんなり決まりました。それから「感」の文字の最後のハネにすごく躍動感を感じたんです。だから、どうせならはみ出してしまえということで、今回のデザインが生まれました。ケースと文字板のズレが出ないように調整するのが大変でしたけどね。
双雲
ハネの部分もカスレまで、すごくよく彫れていますよね。どのくらいのパターンを描いたんですか?
井上
色と表現の違いで、30パターンは考えました。そういえばガラスに「感」の文字を入れて透けさせようという案もありましたよね。
双雲
ありましたね。そっちの方がインパクトはあったかも知れないけど、時計は長く着けるものなので、結局、一番シンプルなものに落ち着きました。

双雲さんの書がデザインになることが多いと思いますが、その辺りはどのように捉えていますか?

双雲
書の世界は、書と印、あとは額縁と掛け軸くらいなものだけど、デザイナーさんが入ることによって、既存の書の世界を飛び出していく面白さを感じています。僕の想像しない新しい可能性を引き出してくれることにワクワクしますよ。
デザインであっても、アートであっても、同じことだと思っているんです。結局、人の心が動くかどうか。僕の個展で書を観ても、時計で書を観ても、それで人の心が動くのなら、両者に違いはありません。アートという曖昧なものが、デザイナーさんの力によって、それまで伝わらなかったことが伝わるようになったり、新しい魅力を感じるようになるのなら、コラボにも大きな意味がありますよね。
井上さんとのコラボも、ドキドキでしたよ。
井上
一点ものの書に対しても、こういうマスプロダクトの商品に対しても、
同じスタンスでやっていけるのがすごいですね。
双雲
ただ、僕は何かのタイトルを書かせてもらうことが多いんだけど、
それはすでに映画や商品という場があるわけだから、限りなくデザイナー感覚に近いと思います。
誰に何を見せたいかと考えることが重要じゃないですか。
井上
双雲さんはデザイン感覚も持っていると思うんですけど、そこでひとつ聞きたいことがあるんです。
双雲さんは、理系だったんですよね?
僕も理系だったんですが、アートやデザイン系って文系が多くないですか?
双雲
文系か理系かは、あまり意識したことなかったですね。
ただ、今でもまったく芸術的センスがあるとは思えなくて、子供の頃はむしろ苦手でした。
まさか自分が最も苦手だった書とか、モノ作りの世界に行くとは思っていなかったですね。
井上
そうなんですか? プロダクトデザイナーの世界は、
デザイン業界のなかでも、理系的な要素が多いと思うんです。
デザイナーの中には、感覚的に絵を描き、技術者に設計をお願いするやり方の人もいますし、そこから数値を追って形を攻めていく人もいます。
双雲
“形を攻める”って、初めて聞いた。名言だな(笑)。
井上
沢山の情報を身につけることで、あとどのくらい攻めることが出来るか感覚としてわかってきます。僕はモデリングしながら調整していくんです。最後まで妥協せず、設計まで関わりたいタイプのデザイナーなんですよね。

理系デザイナーとしては、瞬発的に出てくるアート感覚みたいなものを
時計に反映させることはあり得ないこと?

井上
いいえ、そんなことはないですよ。自分の欲しくないものは作りたくないので、
どうしても自分のなかの美意識を落とし込んでいる部分はありますからね。
双雲
制限はあったとしても、自分イズムをゼロにはできないですもんね。
井上
最近ではバーゼルワールド(世界最大の時計の見本市)で発表するコンセプトモデルを自由な発想で作らせてもらえますし、もともとカンパノラのデザインの自由度や許容度は高いんです。
もっといえば、シチズンという会社自体、デザイナーの自由な発想を取り上げてもらえる社風へと変わってきているので、これからももっともっと魅力ある時計を考えていきたいですね。
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