技術と美の融合が、デザインの可能性を無限に広げる
2011年11月1日(火)から11月6日(日)までの6日間、東京・明治神宮外苑をメイン会場に、国内外から多くの企業・デザイナーが参加するデザインイベント「TOKYO DESIGNERS WEEK2011(東京デザイナーズウィーク2011)」が開催された。
26年目を迎えた今回、「LOVE―地球への愛、ヒトへの愛、モノへの愛」をテーマに、東京の街は個性豊かなデザインで彩られた。
シチズンが東京デザイナーズウィークに初参加したのは昨年。
2度目の参加となった今年、シチズンの掲げるテーマは「エコ・ドライブウオッチ―デザインの可能性2011」
シチズンは、スイスのジュネーブで毎年開催される世界最大の時計・宝飾見本市「バーゼルワールド」にて、「シチズン エコ・ドライブ コンセプトモデル」を発表している。
このプロジェクトは、シチズンの全デザイナーと技術開発者がその力を結集して未来へのデザインを生み出す挑戦であり、企業としてデザインの可能性を探る取り組みである。
今回の東京デザイナーズウィークでは、光の力で発電する時計「エコ・ドライブ コンセプトモデル」の開発過程で生まれた、様々なデザインの可能性が展示された。
世界が注目するシチズンのデザイン、その最新の姿をお届けする。
東京・表参道、デザインの最先端にて
東京・明治神宮外苑から青山へと続く表参道。
緑豊かな都心の並木道に、世界有数の高級ブランドショップや人気のレストランが立ち並ぶ中を、独創的で洗練されたファッションに身を包んで行きかう人々。
世界中のトレンドと多種多様な美がこの地に集まり、互いの感性を刺激し、さらに高め合う、日本、そして世界のデザインの最先端。
その表参道から通り一つ入ったところに、「CITIZEN DESIGN STUDIO」はある。
ここは、シチズンのデザイナーたちが日々その感性を研ぎ澄まし、新たな美を生み出しているデザインクリエーションの拠点である。
昨年の東京デザイナーズウィークにて初めて一般に公開され、今年の展示もこの場で行なわれた。
屋外から建物に真っ直ぐと伸びる赤絨毯に導かれ、ガラス張りのエントランスをくぐって階段を2階へ上がる。
すると、やわらかい陽光をいっぱいに取り込んだ作りの、白を基調とした展示スペースが現れた。
コンセプトモデルと未来のデザイン
会場に訪れた来場者を迎えるのは、新芽のように繊細なフォルムを描き、朝陽を浴びて目覚め、光の針で時を刻む、まるで植物のような時計。
入口正面の壁面に据えられた、この「光合成する時計」は、昨年の東京デザイナーズウィークのイメージボードで展示され、来場者から最優秀コンセプトとして選ばれた作品だ。今年は、これを立体模型として展示。昨年からのリピーターにとっては特に興味深く楽しんでもらえる作品となった。
奥へと続く通路には、デザイナーと技術開発者によるプレゼンテーションのイメージボードが並ぶ。
これは、 「エコ・ドライブ コンセプトモデル」の開発過程で開催された、社内コンペティションで生まれたアイデアの中から、シチズンの未来を感じさせる作品を選び、7作品を展示したものだ。
このコンペティションには、国内外の技術開発者55名、デザイナー41名、総勢96名が参加。双方が技術アイデア、デザインコンセプトを持ち寄り、お互いのアイデアに惹かれあったもの同士がチームとなって改善を重ね、「未来と可能性を感じる時計」として一つのプレゼンテーションを作り上げた。
その中の一つ「AIRSHIP」という作品は、今回インタビューを行なったデザイナー、高橋泰史氏の作品である。水平線を思わせる文字板に、プロペラ状の針と小さなコンパスを載せた、身に着けた人が旅行に出掛けたくなるような遊び心満載のデザイン。
また、「ATMOS」という作品は、本イベントの会場、CITIZEN DESIGN STUDIOに常駐するデザイナーによって生み出された作品だ。
通常、社外秘とされるような社内コンペティションのアイデアに触れる貴重な機会は、このイベントの大きな魅力となっていた。
続いて来場者を迎えたのは、前述の社内コンペティションの中から選び抜かれた「エコ・ドライブ」歴代コンセプトモデルの数々。一番手前の壁面には、「Eco-Drive SATELLITE WAVE」が、コラボレーションしたSFアニメ「APPLESEED XIII」(アップルシード サーティーン)の映像とともにディスプレイ。
これは今年3月に「バーゼルワールド2011」で発表され、早くも9月に発売されたばかりの新型モデルで、地球上どこに居ても人工衛星から時刻情報を受信できる世界初の光発電腕時計である。
展示されたコンセプトモデル

Eco-Drive SATELLITE WAVE
世界初、人工衛星から時刻情報を受信するサテライトシステム搭載
Eco-Drive DOME
光を受けて輝くドーム状の文字板が美しい、革新的デザイン
Eco-Drive LOOP
ループ状の秒針が天体的な美を表現する女性用時計
Eco-Drive VITRO
クリアー感とレイヤー感をコンセプトに透明ガラスソーラー使用

Eco-Drive RING
リング状のソーラーパネルをケース周囲に巡らせたモデル
Eco-Drive EYES
光と影が、真白な文字板に表情を与える
会場内で放映された動画
コンセプトモデルの展示されたスペースのすぐ隣で、コンセプトモデルのデザイナー及びエンジニアのインタビュー動画が放映されました。
「エコ・ドライブ ウオッチ-デザインの可能性2011」デザイナーインタビュー(全編)
■チャプター呼出再生
各デザイナー/エンジニアの名前をクリックすると、該当するインタビューの頭から再生されます。
- Chapter01 Eco-Drive SATELLITE WAVE
- - Designer 井上 英樹 -
- - Engineer 荻田 拓史 -
- - Engineer 木村 力 -
- - Designer Benjamin Cheng –
- - Engineer 野間 陽介 -
Chapter02 Eco-Drive RING
光発電エコ・ドライブの機能を、洗練された美しいデザインに融合させるためには、デザイナーと技術開発者のより高いレベルでの協調が必要となる。
技術メンバーも「創造=デザイン」をするデザイナーの一員として、開発に関わる全ての者が持てる力を活かし合う。
従来の時計の枠にとらわれない、未来を想起させるモデルの数々。
シチズンがその歴史の中で築いてきた信頼をベースに、美しさを追求して生まれる、より洗練された技術。
これこそが、シチズンのプロダクトポリシーである「技術と美の融合」といえる。
こうしてデザインの可能性は無限に広がっていく。
「エコ・ドライブ」は単なる機能ではない。シチズンが渾身の力で打ち出す、未来へのデザインなのだ。
デザインと技術が互いを刺激する、クリエイティブの化学反応
今回の展示作品の制作に関わった高橋泰史氏と佐々木理土氏、二人のデザイナーに東京デザイナーズウィークへの参加についてお聞きした。
「シチズンでは"技術と美の融合"をプロダクトポリシーとして掲げ、デザイナーと技術開発者が協調し、新たな時計づくりに取組んでいます。そうした中、コンセプトモデルを展示・発表する機会は多いのですが、今回のように、コンセプトモデルの制作過程における社内コンペ作品までを展示・発表することはシチズンとして、また業界としても稀なケースであり、興味深い取り組みだと、多くの方からの声をいただいています。今回、足を運んでいただいた皆様には、コンセプトモデルはもちろんですが、コンペ作品を含め、シチズンのデザインの可能性の一端を、是非ご覧いただきたいと思っています(高橋氏)」
シチズンのコンセプトモデルは、デザイナーと技術開発者が互いにアイデアを交換しながら、創られている。新たなデザインの可能性を追求する過程で刺激し合い、相乗効果が生まれるという、プラスの化学反応が起きているようだ。
「例えば、あるデザイナーによって持ち込まれたアイデアが、全く新しい技術を必要とするものだとしたら、通常であれば"技術的に実現できるかどうかわからない"ということを意味すると思います。しかし、シチズンでは技術部のメンバーが"そのアイデアを必ず実現しよう"と応えてくれ、デザイナーのアイデアを形にしてゆきます。逆に、技術部からの提案が先にあり、全く新しい技術を活かしたウオッチをデザインすることもあります。デザイン部と技術部の間には、お互いのアイデアをウオッチに活かす、つまり、これまでにない新たな美しさを形にできるような交流が生まれています(佐々木氏)」
「エコ・ドライブ コンセプトモデル」の発表は2009年から始まり、毎年次々と新しい作品が発表、そして製品化されている。シチズンにとってのコンセプトモデルとは、一般的によく使われる「ショーに出すためのコンセプトモデル」とは違った意味合いを持つ。「エコ・ドライブ」とデザインの新たな可能性を追求することで生まれた、近い将来に製品化を目指すモデルである。
「コンセプトモデルの魅力を、そのまま余すところなく製品化してお客様に提供することが我々の目標。もし、発表段階ではデザイン性に富んだ作品が、その斬新さを削ぎ落とした無難な製品として発売されたとしたら、お客様を落胆させることになる」と高橋氏は言う。
かといって、製品化が容易な作品を選んで作るのではなく、魅力ある時計を生み出すことが何より最優先。今回展示された全ての作品に、高橋氏をはじめとする多くのデザイナーと技術開発者の想いが込められている。
因みに制作携わるスタッフのルールは、"できない"とは言わないこと。
今年の東京デザイナーズウィークの開催テーマは、冒頭でも述べたように「LOVE―地球への愛、ヒトへの愛、モノへの愛」である。まさに現代社会が求めているもの。
このテーマに、『人々に寄り添う時計というものを、「エコ・ドライブ」という技術を用いて、想いを込めてデザインする』シチズンの取り組みは一致する。
今後の東京デザイナーズウィーク参加について、「今回で2回目ということもあり、ある程度の手ごたえを感じることができたので、次はどうすればシチズンの想いをより伝えることができ、お客様にもっと楽しんでもらえるかを工夫したい」と両氏は意気込みを語る。
ここに展示されているのは、必ずしも完成された作品ばかりではないが、それだけに、どの作品も「未来」や「可能性」を感じさせる。
まさに夢を実現しようとしている姿がそこにある。
デザイナーと技術開発者の手によって、生命を吹き込まれていくアイデアのカケラたち。そこから常に新しいものを見出そうとするシチズンの姿勢を、デザインの可能性を目にすることができるだろう。

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Writer : Sanae HOURAI
















































