TOP > DESIGNER'S RELAY COLUMN

文字サイズ

デザイナーズ リレーコラム - DESIGNER'S RELAY COLUMN

デザイナーズ リレーコラム

シチズンのデザイナーたちが綴る、「時」「日常」「デザイン」考。
リレー形式で、毎回新たなコラムをお届けいたします。
2012.1.20 人生を変える“デザイン”

2012年という新たな年を迎え、今年最初のコラムを担当します榎本です。

私は、国内で販売されるシチズンブランドの男性用腕時計のデザインを主に担当しているのですが、アイデアに行き詰まってしまったり、自身がデザインした商品が、期待した結果を出せなかったり(つまり"売れない")した時、ふと思う事があります。
「何で自分はデザイナーなんて職業やっているんだろう?才能ないのかな?」と・・・。

職業といえば様々なものがあるのに何故自分は、その中から「デザイナー」という職種を選択したのか?子供の頃から絵を描いたり、粘土をこねたり、プラモデルを作ったりと「モノ」を創るのが大好きだったのですが、小学校の時の卒業文集の「将来の夢」。
何と「普通のサラリーマン」! 人の親となった今の自分なら「もっと夢のある事を書きなさい!」と言ってしまいそうな夢の無い子供が何故「デザイナー」を目指したのか?

あるデザインとの出会いが、少年に夢を与えた。今回はそんな切り口で少しお話させて頂きたいと思います

その衝撃的な出会いは今から遡ること30年前、1982年の10月3日の事でした。
当時中学1年生だった自分はその日の午後、テレビの前に友人とあるアニメーションの放送を待っていました。そのアニメのタイトルは「超時空要塞マクロス」といいました。
日曜日の真昼間という今では考えられない時間編成で放送されたその初回を見終わった後友人と私は画面の前で暫く声を失っていたのです。
「戦闘機がロボットに変形した!!」その衝撃的な映像に呆然自失となってしまいました。
まさに、「頭をハンマーで殴られた様な」とはこの事かと思う程の衝撃的な出会いだったのです。

その後、この作品のデザインワーク、初期の頃のスケッチを集めた画集が発売されました。
それらを買い漁っては喰い入る様に読みふけり、そのスケッチを模写する毎日でした。
「自分もこんなスケッチが描きたい!」「こんなデザインが描ける様になりたい!」その一心で模写し続けました。自分の心の中に何かが生まれた。そんな瞬間だったのです。そして次第に興味はデザインそのものからデザインした人、つまりデザイナーへと移っていったのです。

そのデザイナーは「河森正治」氏。アニメに興味の無い方には全く聞き覚えのない名前かもしれませんが、SONYの「AIBO」や日産の「デュアリス」のCMのパワードスーツ(これも車から人型に変形しましたね。)などのデザインをした方だと言えば、ピンとくる方もいるのではないでしょうか?
この方、この変形機構を紙の上で考えたのではなく実際に「レゴブロック」を使ってきちんと変形できる様に実証してデザインを進めたのだそうです。するとやはり変形するモノが欲しくなるのが、男の悪い癖です(笑)。



という訳で、集めました(笑)。当時発売されていた変形TOYは中学生には手の届かない高価なモノでしたので、持っていた友人に遊ばせてもらっていたのですが、どうしても諦めきれずに働くようになってから収集したTOY達です。写真にモザイクが掛かっている為(※)わかりづらいかもしれませんが、左は戦闘機の状態。右がロボットへと変形させた状態です。なかなか複雑な変形機構を再現しているので、この数を変形させるのに30分以上かかりました。しかしそれら複雑な機構を再現しながらシルエットのバランスが崩れないのは、機構を検証しながら進めたデザインの完成度の高さのおかげだと思います。


話が収集癖の方向に行ってしまいそうなので話を戻しますがアニメーションという架空のデザインとはいえ、一つのデザインの力で人生が変わる。この出会いによって平凡なサラリーマンという夢とは言えない夢を抱いていた少年が「デザイナー」になりたいというはっきりとした夢を持つまでになった。デザインには人生を変えてしまうくらいの素敵な力を持っている。という事を忘れずにいたいと、今回このコラムを書きながら改めて思いました。
その気持ちを忘れない様に、お気に入りのこの2機を自宅のパソコンの前に置きました(笑)。

将来、「シチズンのデザインに影響されてシチズンに入社しました。」とか「デザイナーを目指しました。」なんて人に会えたら、我々も「人生を変えるデザイン」ができたという事になるんでしょうかね?そうありたいものです。

さぁ次回はメンズチームの紅一点、堀川さんのお話。
女性目線からの鋭いデザインは独特の素敵な世界観を持っています。
どの様なお話が聞けますでしょうか?皆さんお楽しみに。
 

※著作権保護の為、画像にモザイクを掛けています。

WRITER PROFILE
榎本信一
NAME
>榎本 信一
BIRTH
>1969 November
WORK
>Men's Watch DESIGNER
 
HOBBY
>模型製作・TOY収集・
特撮ドラマロケ地巡り(今年から)
mixiチェック
PAGE TOP